熊本県立農業大学校の同窓会「耕志会(こうしかい)」のホームページです。  

 
 
 
 
OB report バックナンバー

[No.1]

[No.2]

[No.3]

[No.4]
 

 

昭和58年に20歳で就農、25歳で結婚、その翌年に先代から経営移譲。奥様の実家に教えを請いながら40aの圃場でトマト栽培をスタートしたという澤村和広さん。「妻の実家がハウス農家でトマトやメロンを作っていて、結婚直後に将来のことを考え、それまでの作物からの転換を決めました」。そして2年目は80a、その5年後に120aと作付面積は順調に増えてゆく(この時期は昭和63年1月に長女、平成元年9月に長男:武志さん誕生という慶事も続く)。試行錯誤を重ねながらトマト栽培の経験を積む中で、台風による壊滅的な被害にも遭う。その後、平成20年からは長期栽培に切り替えてトマト専門農家に。以降、中国人農業研修生の受け入れも始める。また、澤村さんは栽培する品種を決定する前に、3品種の栽培試験をハウス単位(苗1,000本ずつ)で行ない比較検証するなど、生長の経過と結果を自分の目で確かめるこだわりの人だ。数年前から土壌消毒も太陽熱消毒を採用するなど様々な挑戦を続けながら、現在はトマトとベリートマトを合計165aのハウスに栽培している。「毎年違うけれど、やっただけ返ってくるのが農業。作ろうと思わずに、トマトと話せるようになってほしい」と、5代目の武志さんへ送る穏やかな笑顔が印象的だった。







 

県立農大時代は横島(1年生時/10日間)と玉名(2年生時/40日間)のトマト農家派遣研修が思い出に残っているという澤村武志さん。特に横島の研修先は県立農大のOB・OG夫妻で、奥様は父:和広さんの同期生というご縁もあったとか。その他、ニュージーランドへの海外派遣研修(修学旅行/10日間)も、現地の農家にファームステイして農作業を体験するなど、充実の時間を過ごせたと語る。「派遣研修は、キツいと感じたこともありますけれど、基本的に楽しかったですね」。幼い頃は姉やいとこと数人でトマト出荷用の箱を作り、高校時代にも友達と農作業を手伝ったという。高校入学前には既にトマト農家として後を継ぐと決めていたらしく、父:和広さんの仕事ぶりについては、「たった1代でここまで出来るんだ…」と感じることばかり。安定した経営基盤を作ってくれたことに感謝しつつ、「早くひとりでトマトを丸まる(全段階)作れるようになりたい」「予防の方法や追肥のタイミング、農薬についてより詳しく知りたい」と就農して約2年(平成24年1月現在)という伸びしろの多い若手農業者らしい言葉も次々に表れた。そして、「農業を続けていきたい」「常に上を目指して、年々いいトマトを作りたい」とキッパリ。また、「父には、いつまでもチャレンジを続けてほしい」と、激励の言葉を忘れない。親の探究心は子の胸に息付き、きっとこれからも深く色付いてゆくことだろう。
 


●プロフィール
父/澤村 和広(さわむら かずひろ)
昭和37年(1962年)八代生まれ。熊本県立氷川高校(普通科)を経て熊本県立農業大学校(園芸科)卒。県立農大時代は「お金は無かったけれど、研修など何もかも楽しかった」と語る。父親の代(3代目)までは路地野菜・水稲・い草を中心に作っていたものの、就農・結婚後、4代目として農業経営の未来を見据えてトマト栽培への方針転換を決意。最初は、八代地区で長く続いてきた秋〜冬に収穫する抑制作型で、トマトの後に春メロンを栽培するトマト・メロン農家として歩み始めた。しかし、その初年度は深夜まで手選果と箱詰め作業に追われ、半年間で休日3日という多忙な日々を送ったという。その後、農事組合法人・八協連に参加。現在ではトマト専門農家として安定した経営基盤を構築している。「いつでも謙虚にチャレンジしながら、いつか明るい家庭を築いてほしい」と子に願う、一女一男の父。澤村園芸 代表。


子/澤村 武志(さわむら たけし)
平成元年(1989年)八代生まれ。中学卒業時に家業を継ぐことを決めていたことから、少しでも見識を広げる意図で、興味があるデザインを学ぶために熊本県立八代工業高校(インテリア科)へ進学・卒業。その後、熊本県立農業大学校(野菜学科 野菜Aコース)卒。近年、八代地区は全国でトップクラスの後継者ラッシュに恵まれ、今後地元では周囲に10人以上もの若手後継者が育つ予定という。武志さんも思わず「青年団の活動も賑やかになりそう」と笑顔が絶えない。トマト栽培ではまだ慣れない作業もあり、自走式防除機を倒してしまうなど新人らしいエピソードも。「父からしっかりと学びたい」「人と違うことに挑戦したい」という熱い思いを胸に、日々農業の実践に取り組む心優しい22歳(平成24年1月現在)。


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